抄録
溶液輸送型吸収冷凍機(STA)は熱エネルギーを濃度差に転換し熱輸送するため,常温での熱輸送が可能となる.本研究では熱輸送距離10000 m,冷凍出力3517 kWの大規模なSTAを想定し,冷凍負荷が20 %減少した時の動的挙動をシミュレーションし,輸送配管の仕様が制御性および冷媒受液器に及ぼす影響の解析を行った.同条件の制御機構において,冷凍出力の動的挙動は輸送距離によらずほぼ同じ追従性を有する.強溶液輸送配管内の冷媒質量の増加は,冷媒受液器の冷媒を用いているため,配管内容積が大きいほど受液器の冷媒が減少し,溶液受液器の冷媒が増大する.よって,STAは従来の制御機構により冷凍出力を制御可能であるが,受液器体積や冷媒充填量の増加が必要となる.