ヒートポンプからの温室効果ガスの排出を削減するために,現在の冷媒の使用を禁止し,より低い地球温暖化係数(低GWP)の冷媒に置き換えることが予定されている.しかし,GWP の小さいフロン系冷媒の多くは化学的に不安定であり,弱い可燃性を有する.既存の研究は,湿度がその可燃性限界に影響を及ぼすことを示唆しているが,漏洩時の冷媒の酸化分解に与える湿度影響に関しては明らかにされていない.本研究では,酸化分解の下限温度を測定して,低い燃焼性を有する低GWP 冷媒を使用するときのリスクを評価した.加熱管を高温表面として用いて,低GWP および従来の冷媒の分解開始温度およびフッ化水素の発生を測定した.さらに,分解に対する温度,湿度,冷媒の種類,および壁面材料の影響を検証した.