日本冷凍空調学会論文集
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低GWP 冷媒の物性評価へ向けた液相域音速測定装置の開発
西橋 奏子狩野 祐也粥川 洋平倉本 直樹
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キーワード: 冷媒, 熱物性, 音速, 低GWP
ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 24-31LG

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抄録

地球温暖化係数(GWP)が小さい次世代冷媒への転換が世界的に進められている中で,低GWP 冷媒の実用化のために必須となる基礎的な物性値評価が求められている.本研究では,冷媒の液相域における音速データの取得を目的として,超音波パルス伝搬式の音速センサを用いた液相域音速測定装置の開発を行った.純水およびR1336mzz(Z)cis-1,1,1,4,4,4-hexafluoro-2-butene)を音速の参照物質としてセンサの校正を行い,R1234yf2,3,3,3-tetrafluoropropene)を測定して装置の健全性確認試験を実施した結果,既存の報告値と不確かさ以内で一致することを確認した.また,液相域の音速測定に関する不確かさ評価を行ったところ,相対標準不確かさは0.084 %と見積もられた.開発した液相域音速測定装置を用いて,まだ測定値が報告されていない低GWP 冷媒として,R1336mzz(E) trans-1,1,1,4,4,4-hexafluoro2-butene)およびR13I1trifluoroiodomethane)の液相域における音速測定を実施した.R1336mzz(E) については283 K から343 K の温度範囲,1 MPa から7 MPa の圧力範囲において28 点,またR13I1 については273 K から333 K の温度範囲,1 MPa から7 MPa の圧力範囲において28 点,それぞれ液相域の音速データを取得した.得られた音速データと既存の状態方程式からの音速計算値を比較した結果,R1336zz(E) については最大9 %程度,R13I1 については最大2.4 %程度,本測定データの方が小さくなることが分かった.

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