日本冷凍空調学会論文集
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非共沸混合冷媒のPOE油に対する溶解組成
有賀 弘晟RAKPAKDEE Wannarat福田 充宏本澤 政明
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 24-33LG

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抄録

地球温暖化抑制を目的とした冷媒の規制に対し,近年では低GWPの非共沸混合冷媒が次世代冷媒の有力な候補とされている.圧縮機で用いられる冷凍機油は,サイクルに流出した際に圧縮機へ戻り易くするために冷媒との相溶性を持つものが選択されるが,冷媒が冷凍機油へ溶解することで物性変化が生じ,冷媒圧縮機の性能に影響を与えることが知られている.したがって次世代冷媒への早期転換を実現するためには,冷凍機油に対する溶解挙動を明らかにする必要があるが,非共沸混合冷媒では,冷凍機油に対する冷媒の溶解組成が冷媒の組成と異なる可能性がある.そこで本研究では,非共沸混合冷媒の冷凍機油に対する溶解挙動の解明を目的とし,冷凍機油に溶解した冷媒の分離プロセスの検討,飽和溶解状態における冷媒溶解組成の測定,溶解初期と飽和溶解状態における溶解組成の比較を行った.非共沸混合冷媒にはR32R1234yfの混合冷媒であるR454C,冷凍機油にはPOE油を使用した.その結果,冷凍機油に対して冷媒は,ほぼ充填時の冷媒組成で溶解していることが分かった.一方で,液温80℃における露点圧力以下の圧力範囲の溶解組成測定では,充填時の冷媒組成に対してR1234yf4%程多く溶解していた.また液温80℃での冷媒溶解度約67%~82%の範囲では,冷媒の混合率の異なる相が分離している様子が確認できた.

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