未利用熱エネルギーの有効利用技術として熱化学蓄熱があげられ,低温再生可能な熱化学蓄熱材の中でも炭酸カリウムは高い安全性やシステム安定性などから有望な候補として注目されているが,水和反応速度の遅さが課題となっている.本研究は炭酸カリウムを膨張黒鉛に担持させることで水和反応速度及び熱伝導率の向上を目指すものである.その結果,サイクル安定性を維持したまま,熱伝導率は1.39倍~1.52倍に上昇,脱水開始温度は7ºC以上低下した.また,水和反応速度が向上したことも確認された.さらに,膨張黒鉛の疎水性影響軽減を狙った塩化リチウム1%添加材料では水和反応速度のさらなる改善が見られ,その効果を確認することができた.加えて,脱水開始温度もおよそ6ºC低下し,低温再生性においても有望な熱化学蓄熱材であることが示唆された.