特殊教育学研究
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共同行為ルーチンによる重度精神遅滞児のごっこ遊び、コミュニケーション行動の促進
宮崎 真
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1992 年 29 巻 4 号 p. 105-110

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抄録

コミュニケーション行動および象徴的行動の発達が言語行動の発達の重要な契機となるという考え方がある。この考え方に基づき、コミュニケーション行動および象徴的行動を促進する目的で、話言葉獲得前の重度精神遅滞児5名を対象にごっこ遊び「カレーライスを作ろう」を共同行為ルーチンとして構成化し、指導を実施した。標的行動としては、(1)コミュニケーション行動(返事、頂戴のジェスチュアーと指さし)、(2)ふり動作(買い物に行く、包丁で切る、食べる)であった。指導方法としては、指導者およびプロンプターによる指示、身体介助であった。12回の指導によって、コミュニケーション行動、ふり動作いずれの行動も促進された。以上のことから、言語獲得前の重度精神遅滞児の場合でもごっこ遊びは共同行為ルーチンとして構成化できること、コミュニケーション行動およびふり動作を促す有効な指導場面となることが示唆された。

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© 1992 日本特殊教育学会
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