抄録
本研究では、視覚性語彙の形成を目的とした読み指導を行い、その指導効果と有意味単語の読みの音読反応時間の変化との関係について検討を行った。対象は、通級指導教室に通うLD児10名とした。ひらがな文の音読に特異的な読字障害を伴うLD児に対する指導の結果、未指導の課題文でモーラ数が多い文節において、流暢に読むことができた文節の数は増加し、読み指導の効果が大きいことを指摘できた。本研究の課題文は、動物に関する説明文を用いており、単語と単語の関係性が明確であるため、視覚性語彙による指導効果が未指導の課題文に波及した可能性が指摘できた。