糖尿病
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症例報告
LDLアフェレシスにより趾切断を回避しえた閉塞性動脈硬化症合併糖尿病足病変の1例
末原 節代竹内 康雄福永 惠伊藤 直人
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2007 年 50 巻 1 号 p. 25-29

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抄録
症例は67歳女性.2005年3月,左足第1趾の発赤腫脹を契機に近医にて初めて糖尿病,高脂血症,高血圧症,足壊疽と診断された.治療を開始されたが改善なく当院紹介入院.HbA1c 10.7%, 尿蛋白4 g/日,前増殖網膜症,下肢腱反射消失,ABI右0.76, 左0.42, 左足第1趾に4 cm大の潰瘍を認めた.合併症の進行した糖尿病とFontaine IV度の閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans, ASO)と診断.抗生剤,PGE1を2週間投与したが効果なく,皮膚科にて中足骨切断の適応とされた.そこでLDLアフェレシス(LDL apheresis, LDL-A)を2回/週,計10回施行したところ,潰瘍の縮小を認め,切断を回避できた.LDL-A終了5カ月後の外来では潰瘍はほぼ治癒状態であった.透析患者のASOにLDL-Aの有効性が近年報告されているが,非透析患者においても有効であり,ASO合併糖尿病足病変の治療の選択肢として有用である.
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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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