糖尿病
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原著
糖尿病による視覚障害
—全国臨床糖尿病医会施設における実態調査—
山名 泰生三木 英司清水 昇横井 敏夫杉本 英克土井 邦紘
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2007 年 50 巻 6 号 p. 365-372

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抄録
〈目的〉米国等の先進諸国同様,本邦でも1988年の厚生省の「視覚障害の調査研究」によれば後天失明原因の第1位が糖尿病網膜症とされ,以後そのように思われてきた.事実,1990年に全国臨床糖尿病医会会員に対して実施した糖尿病患者の実態調査でも高頻度に失明者が認められた.すなわち,43医療機関から回答があった調査対象糖尿病患者16,824人のうち糖尿病網膜症による失明者は122人であり失明者の割合は0.73%と高率であった.なお,失明の定義は欧米でも異なっているが,本調査では矯正視力0.01以下の身体障害者1級の視覚障害者とした.その後も糖尿病患者は増加しているが,近年の糖尿病の啓発運動に加えて光凝固や硝子体手術の進歩の結果,予後に有意な改善が起こっている可能性が推定され,今回,糖尿病網膜症による失明患者の現在の動向を明らかにするために通院者について再調査を行った.〈方法と対象〉2003年に全臨糖会員49医療機関を受診した36,467人の糖尿病患者を対象に前回と同様の方法で失明に関して調査した.〈結果〉1医療機関あたりの患者数は1990年の調査では平均391人であり,今回の調査では平均744人となっており,患者数は約1.9倍に増加した.糖尿病網膜症による失明患者は32人で糖尿病患者に占める割合は0.09%であり,前回調査よりも有意に減少した(P<0.001).〈結論〉糖尿病網膜症による失明者は1990年の前回調査と比較して8分の1に減少した.
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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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