糖尿病
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症例報告
HbA1cが偽性高値を示したために経口血糖降下薬の投与を受けた非糖尿病異常ヘモグロビンの2例
清水 彩洋子平良 暁子畑﨑 聖弘馬屋原 豊平良 真人古賀 正史
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2015 年 58 巻 2 号 p. 121-127

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抄録

HbA1cは血糖コントロール指標として広く用いられているが,貧血や異常ヘモグロビンを有する患者のHbA1cは血糖コントロールを正しく反映しない.今回,HbA1cが偽性高値を示したために,経口血糖降下薬の投与を受けた非糖尿病異常ヘモグロビンの2例を経験した.2例とも高血糖は認めなかったが,免疫法で測定したHbA1cが高値を示した.1例はスルホニルウレア薬の投与で低血糖をきたしたが,他の1例はDPP4阻害薬およびビグアナイド薬の投与のために低血糖は起こさなかった.内服薬中止後に行ったOGTTの結果,1例は境界型,他の1例は正常耐糖能であった.HbA1cと血糖の乖離より異常ヘモグロビンを疑い,グロビン遺伝子解析を行った結果,β鎖のヘテロ変異を認め,Hb Himeji[β140Ala→Asp]と診断した.今回の経験より,糖尿病の診断はHbA1cのみでは行ってはならないことを再認識した.

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© 2015 一般社団法人 日本糖尿病学会
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