糖尿病
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Gliclazide (Diamicron) 服用により遷延性低血糖を起こした1症例
神田 直子竹居 真知子大森 安恵平田 幸正
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1980 年 23 巻 6 号 p. 627-631

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抄録
経口血糖降下剤による重症低血糖症の報告は多い. しかし本邦では薪しいスルホニルウレア剤である, gliclazide (diamicron) による低血糖昏睡の報告は, まだないようである. 今回私どもはgliclazide服用者にみられた低血糖昏睡の1例を経験したので報告する.
症例は60歳女性で, 糖尿病発症後13年を経過しており, Scott IIIaの網膜症と腎症を有し, 2時間クレアチニンクリアランス34.5ml/minであり, 今回の低血糖発作の2年10ヵ月前よりgliclazideを服用していた. 患者は昭和53年9月24日, 食事を摂取せずgliclazideを服用し, 昏睡状態となって入院した. 入院時の血糖は, 45mg/dl以下であり, ブドウ糖点滴静注で意識を回復したが, その後点滴静注の速度を緩めることで, 低血糖発作を2回起こし, 発作を離脱するまでに約35時間, 総ブドウ糖量は281.59を要した. gliclazide服用後約18時間経過した時の血中gliclazide濃度は1.2μg/mlであったが, この時期には, まだ低血糖を離脱していなかった. liclazideの半減期が8~10時間であることを考えれば, 発作時には, より高値であったと思われた. なお本剤の血中有効濃度は, 2μg/ml以上といわれてい. 患者は糖尿病性腎症を有し, gliclazide服用に腎機能低下と食事を摂取しなかったことが加わり低血糖昏睡を生じ, 低血糖回復が遷延したものと考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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