糖尿病
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高脂血症治療剤Bezafibrateの中等度にコントロールされたNIDDMにおける血糖降下作用
大澤 旭
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1994 年 37 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
Bezafibrate (以下Bfと略す) は脂質代謝異常, とくに高トリグリセライド血症の改善剤である.Bfは糖代謝へも好影響をもたらすという報告もあり, その確認のため早朝空腹時血糖値 (以下FBSと略す) が160~220mg/dlにコントロールされているNIDDM26例において6カ月間臨床経過をみた.FBS値はBf投与で前値199±40mg/dlが, 1カ月後160±42mg/dlへと有意に (P<0.01) 減少し, 6カ月続き, Bfの中止で前値へ復した.HbA1c値はBf投与後3カ月は不変で (前値8.1±2.0%), 以後SU剤群で漸次増加し (5カ月8.6±1.5%), Bf中止後の2カ月も有意に高値であった (8.9±1.4%) が, その臨床意義は僅少のようである.早朝空腹時の血中インスリン値はBfで変化しない.BfによるFBS値の減少の機序は明らかでないが「肝での糖産生の抑制」を想定した.HbA1c値に改善がないのでBfは食後の血糖値を改善しないと判断されるが, FBS値の降下の心理的効果は大きい.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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