糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
37 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 井上 徹, 伏見 尚子, 山田 祐也, 宇高 不可思, 亀山 正邦
    1994 年 37 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    外来通院インスリン非依存1生糖尿病患者で脳MRI像にて無症候性多発性脳梗塞 (ML) と診断された症例57例 (69±8歳, M±SD) と正常例53例 (65±9歳) で罹病歴, BMI, CHO, TG, HDLC, Atherogenic Index (A.1), LDL-C, LP (a), 網膜症, 腎症, ニューロパチー, 冠硬化症, 閉塞性動脈硬化症, 高血圧, 血糖コントロール, 治療法を比較検討.65歳未満の中年群41例, 以上の老年群69例に分け同様に検討.t, x2検定, 重回帰分析にて検討.単変量的にはMLは有意に高齢でニューロパチー, 高血圧も高率, 中年群ではMLは網膜症, 腎症, ニューロパチー, 高血圧が有意に高率.多変量的には年齢は単独でMLと有意な関連あり.中年群では網膜症, 高血圧, BMI, A.1の組み合わせが一番MLとの関連が有意.老年群ではどの因子も有意にはならず.以上糖尿病患者ではMLには加齢の影響に加え中年群では細小血管症, 高血圧の関与が考えられた.
  • 血管造影所見の重症度と臨床分類
    河口 明人, 松尾 汎, 対馬 信子, 山本 章
    1994 年 37 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    下肢血管造影および75gOGTT検査を施行された70歳未満下肢閉塞性動脈硬化症 (ASO) 患者108名 (40~69歳) の血管造影所見重症度を定量化 (ASO score) し, WHO分類および血糖/インスリン面積相応関係に基づくK分類 (高血糖≧20mM・h, 高インスリン血症≧0.9nM・h) の両者によって同一集団を群別し, 高インスリン血症の関与と臨床診断の問題点について考察した.WHO分類では対象の41%が糖尿病であり, 全群ともに喫煙率, 血圧は高いが, 尿酸を除き血清脂質, 肥満度, ASO scoreを含めて各群で有意な差は認められなかった. 一方K分類では, 高インスリン血症群は全体の21%(23名) で肥満度, 総コレステロール, トリグリセリド, さらにヘモグロビンおよびヘマトクリットがインスリン分泌の程度に連動して上昇し, 冠動脈疾患患者と同様に「症候群」としての代謝環境を特徴づけたが, この群での末梢動脈硬化は, 冠動脈疾患と異なり必ずしも重症ではなかった
  • 大澤 旭
    1994 年 37 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Bezafibrate (以下Bfと略す) は脂質代謝異常, とくに高トリグリセライド血症の改善剤である.Bfは糖代謝へも好影響をもたらすという報告もあり, その確認のため早朝空腹時血糖値 (以下FBSと略す) が160~220mg/dlにコントロールされているNIDDM26例において6カ月間臨床経過をみた.FBS値はBf投与で前値199±40mg/dlが, 1カ月後160±42mg/dlへと有意に (P<0.01) 減少し, 6カ月続き, Bfの中止で前値へ復した.HbA1c値はBf投与後3カ月は不変で (前値8.1±2.0%), 以後SU剤群で漸次増加し (5カ月8.6±1.5%), Bf中止後の2カ月も有意に高値であった (8.9±1.4%) が, その臨床意義は僅少のようである.早朝空腹時の血中インスリン値はBfで変化しない.BfによるFBS値の減少の機序は明らかでないが「肝での糖産生の抑制」を想定した.HbA1c値に改善がないのでBfは食後の血糖値を改善しないと判断されるが, FBS値の降下の心理的効果は大きい.
  • 尾林 博, 太田 光煕, 北川 良裕, 中村 直登, 中埜 幸治, 近藤 元治, 松尾 敏, 大石 まり子, 高橋 健二, 福井 巖
    1994 年 37 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Glutamic acid decarboxylase (GAD)-C末端合成ペプチド抗体によりaffinity精製したGADを抗原とした, Western blot法による抗GAD65およびGAD67抗体の同時測定とその臨床評価を行った.膵島細胞質抗体 (ICA) 陽1生のインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者16例中14例 (88%), ICA陰性IDDM患者29例の3例に抗GAD65, GAD67抗体の単独または双方陽性を認めた.また, ICA陽性のインスリン非依存型糖尿病患者の1例に抗GAD67抗体が, Stiff-man症候群患者の1例に抗GAD65抗体が検出されたが, 自己免疫性甲状腺疾患患者 (20例) および健常者 (30例) では検出されなかった.抗GAD65またはGAD67抗体の各々の抗体特異性とICA抗体価あるいは罹病期間との明瞭な関連性は見出せなかった.抗GAD65, GAD67抗体の検出はIDDMの診断およびその病因の理解に, 有用な一つの指標であると考えられた.
  • 鈴木 吉彦, 竹内 郁男, 細川 和広, 渥美 義仁, 松岡 健平
    1994 年 37 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病発病から数年でインスリン分泌が減少しketotic proneであることからインスリン依存型糖尿病 (以下IDDMと略す) と診断し, 経過観察中に多発性硬化症 (以下MSと略す) の疑いある病像を併発した23歳女性を報告する.MSは, 発病年齢が若いこと, 中枢神経病巣が複数あること, 他疾患を除外しうること, 症状が一過性であったことなどから疑いありと診断した.両疾患合併が疑われた報告は本邦で最初である.両疾患が合併しやすい理由には糖脂肪代謝異常による脱髄現象説, ウイルス感染説など種々の説がある.両者とも発病年齢, 性差, 地理的特徴, 発病頻度, 寛解期を有する点, 自己免疫異常機構を介した機序が考えられる点に共通性がある.本症例ではIDDMに対し疾患感受性HLA遺伝子であるDR4とMSに対するDR2を有する点は遺伝的背景を疑わせる.またMSの併発は糖尿病治療に種々の幣害を及ぼし, 通院中断や過食, 神経症に対する誤診を導くなど悪影響を認めた.
  • 山内 克実, 谷川 敬一郎, 加藤 譲
    1994 年 37 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病性筋萎縮症に, HTLV-I-associatedmyelopathy (HAM) を合併したまれな一例を経験した.症例は63歳の女性で, 9年前に糖尿病を指摘された。経口剤glibenclamide (5mg) を服用していたが, 血糖のコントロールは不良で, 著明な体重減少 (55→34Kg) を認めた.2年前より下肢の筋萎縮と筋力低下, 歩行障害に気づいた.昨年当科外来を受診し, 下肢腱反射の亢進病的反射を認め, 糖尿病性筋萎縮症とミエロパチーの合併を疑い入院した.血清中のHTLV-I抗体は32768倍と高値を示した.髄液検査では細胞数41/3, 蛋白57mg/dlでHTVL-1抗体8194倍でHAMと診断された.プレドニン40mgの投与により髄液中のHTVL-I抗体価は低下したが, 顕著な歩行障害の改善は認めなかった.従って歩行障害の主たる原因は糖尿病性筋萎縮症によると考えられた.HAMは予後不良な疾患であり, 今後の注意深い経過観察が必要である.
  • 1994 年 37 巻 1 号 p. 43-65
    発行日: 1994/01/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
feedback
Top