1994 年 37 巻 1 号 p. 23-30
Glutamic acid decarboxylase (GAD)-C末端合成ペプチド抗体によりaffinity精製したGADを抗原とした, Western blot法による抗GAD65およびGAD67抗体の同時測定とその臨床評価を行った.膵島細胞質抗体 (ICA) 陽1生のインスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者16例中14例 (88%), ICA陰性IDDM患者29例の3例に抗GAD65, GAD67抗体の単独または双方陽性を認めた.また, ICA陽性のインスリン非依存型糖尿病患者の1例に抗GAD67抗体が, Stiff-man症候群患者の1例に抗GAD65抗体が検出されたが, 自己免疫性甲状腺疾患患者 (20例) および健常者 (30例) では検出されなかった.抗GAD65またはGAD67抗体の各々の抗体特異性とICA抗体価あるいは罹病期間との明瞭な関連性は見出せなかった.抗GAD65, GAD67抗体の検出はIDDMの診断およびその病因の理解に, 有用な一つの指標であると考えられた.