日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-28
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一般演題(ポスター)
実験動物におけるグリチルリチン誘発低カリウム血症の検討
*木戸 亮子久保田 訓世土屋 直子蟹谷 昌尚柳澤 利彦加瀬 義夫竹田 秀一油田 正樹
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抄録
【緒言】甘草およびその主成分であるグリチルリチン(GZ)は、薬用および甘味料として多岐にわたり使用されている。副作用として高血圧、低K血症を呈することがあり、偽性アルドステロン症(PA)としてよく知られている。しかし、実験動物においては甘草またはGZ投与によるPA発症の報告は非常に少なく、PA研究の大きな障害となっている。今回我々は、実験動物にグリチルリチンを投与し、低K血症の発症を確認したので報告する。【方法】SDラット(雄、6週齢)に生理食塩水を飲水としたナトリウム負荷条件下で、GZの300、1000、3000 mg/kgを10日間反復強制経口投与した。陽性対照としてデオキシコルチコステロン(DOC)の1、3、10 mg/kgを皮下投与した。投与最終日に採血し、血漿中Na、K濃度を測定した。【結果】血漿中K濃度はDOCのすべての投与群で低下した。血漿中Naは投与量に応じて上昇し、DOCの鉱質コルチコイド作用により用量依存的にNa再吸収が促進され、Na貯留が生じていると推測された。GZは、3000 mg/kgの経口投与で血漿中K濃度を有意に低下させた。1000 mg/kg以下の投与群では有意ではないものの、血漿中K濃度が低値であり、また血漿中Na/K比も高値であることから、300、1000 mg/kgのGZでも血漿中K濃度低下作用があると思われた。【考察】ナトリウム負荷条件下にGZを大量投与することで、ラットに低カリウム血症を発症させることができた。しかしながら、一般的な臨床投与量よりもはるかに多い量のGZが必要であった。この原因として、投与期間や感受性の種差が考えられる。ヒトとラットでは糖質コルチコイドのプロファイルが異なるので、ヒトと同じコルチコイドプロファイルを持つ動物での実験が必要と考え、現在モルモットを用いて検討中であるので、あわせて報告する。
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© 2005 日本毒性学会
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