日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-44
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一般演題(ポスター)
幼若ラットにおけるPhenobarbital投与による肝酵素誘導の影響
*浅岡 由次板村 理央堀本 政夫堀井 郁夫
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抄録
【目的】今回幼若動物における酵素誘導の影響についてのデータを収集するために,日齢の異なるラットを用いて,Phenobarbital(PB)によって肝代謝酵素を誘導したときの肝cytochrome P450(CYP),およびperoxisome脂質代謝酵素の変動について比較検討した。【方法】生後12日齢,26日齢,および7.5週齢のCrj:CD(SD)IGS雌雄ラットにそれぞれPB(80mg/kg)を4日間腹腔内投与した群と無処置群を設定した(12日齢:20 rats/sex/group,他:6 rats/sex/group)。各動物を安楽殺して肝重量を測定した後,Microsomeおよびperoxisomeを調製し,Ethoxyresorufin O-dealkylase(EROD),Testosterone 7 alpha-(T7A),6 beta-(T6B),16 alpha-(T16A),16 beta-(T16B),2 alpha-(T2A)hydroxylase,peroxisomal beta-oxidation(PBO),Acyl-CoA oxidase(ACO)の酵素活性を測定した。【結果】PB投与群では,すべての日齢で無処置群と比較して約30%の相対肝重量の増加が認められた。7.5週齢PB群では,雄は無処置群と比較して,T16Bが約8倍,EROD・T6Bが約3倍,T7Aが約1.3倍誘導され,雌はT16Bが約12倍,T6B・T16Aが約6倍,EROD・T7Aが約2倍誘導され,雌雄で酵素活性値に差が認められた。これに対して, 12日齢PB群は,無処置群と比較して雌雄ともにT16Aが約20倍,EROD・T16Bが約13倍,T7A・T6Bが約5倍誘導され,26日齢PB群は,雌雄ともに無処置群と比較してT16A・T16Bが約15-25倍,T7A・T6Bが約4-5倍,ERODが約2倍誘導され,12日齢PB群および26日齢PB群では酵素活性値に雌雄の差が認められなかった(26日齢のT7Aを除く)。一方,ACOおよびPBOではいずれの日齢においてもPBによる誘導はみられなかった。【まとめ】以上より,幼若ラットではPBによって7.5週齢と同様にCYPの酵素誘導がおこり,かつ7.5週齢よりも誘導の影響が大きい可能性が示唆された。さらに7.5週齢でみられる性差が幼若ラットではほとんどないことが示された。
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© 2005 日本毒性学会
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