日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-63
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一般演題(ポスター)
ラット肝組織および初代培養肝細胞への化合物曝露がトランスポーター遺伝子群に及ぼす影響
*上田 浩之笠原 利彦小野 敦宮城島 利一漆谷 徹郎長尾 拓
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抄録
トキシコゲノミクスプロジェクト(TGP)は国立医薬品食品衛生研究所と製薬企業17社によって2002年に開始されたプロジェクトである.TGPでは約150化合物について,ラットin vivo,ラット初代培養肝細胞およびヒト初代培養肝細胞の一連のセットで曝露試験を実施し,遺伝子発現及び毒性学的データを蓄積している.我々はそのデータを基にした安全性予測システムの開発を目指している.in vivo試験で化合物の安全性を予測する際,投与後の吸収,分布,代謝および排泄の4ステップからなる体内動態を把握することは重要である.近年,化合物投与後における体内動態の各段階でトランスポーターの関与が注目を集めており,P糖タンパク質やMRPファミリーをはじめとする多種多様なトランスポーターが同定されてきた.またトランスポーター遺伝子群の発現は化合物投与によって変化し,薬物動態に影響を与えることも報告されていることから,これらの発現変動を調べることは,化合物の安全性を予測する上で有用な情報となる.我々は,現在までにデータ生成が完了している化合物の中から,トランスポーターの基質,InducerもしくはInhibitorとして作用することが知られている化合物を中心に15化合物に着目し,それらの化合物を反復投与したラットの肝組織を用いて,real-time PCRにより代表的なトランスポーター遺伝子の発現変動を調べた.またラット初代肝細胞を用いたin vitro試験においても同様の評価を行い,ラットin vivoおよびin vitroにおけるトランスポーター遺伝子群の発現変動について比較検討したので報告する.
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© 2005 日本毒性学会
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