日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-16
会議情報
一般演題(口頭)
脳保護薬エダラボンとセファロチン・グリセロール併用時のラット腎障害に及ぼす投与間隔の影響
*大山 直樹石井 俊一郎柴田 博岡田 味世子井上 芳已杉本 次郎新宅 芳久杉山 明男務台 衛
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】エダラボンはフリーラジカル消去作用を有する急性期脳梗塞の治療薬である.第31回本学会において,高用量のエダラボンは,ラットにセファロチン及びグリセロールと併用投与した場合,腎障害発生に対して促進的に働くことを報告した.今回,セファロチン・グリセロール投与の前後にエダラボンをずらして投与した場合のラット腎障害に及ぼす影響について検討した.【方法】Crj:CD(SD)IGS雄ラット(10-11週齢)に,エダラボン(200 mg/kg, bid, iv)と,セファロチン(2000 mg/kg, iv)及びグリセロール(1 g/kg, sc)を絶水条件下で同時あるいは時間をずらして併用投与した.投与翌日に剖検し,腎臓の病理組織学的検査を実施した.【結果】エダラボンはセファロチン・グリセロールと同時に併用投与すると,セファロチン・グリセロールによる腎障害(近位尿細管上皮の変性/壊死)を悪化させた.セファロチン・グリセロール投与の1, 2あるいは4時間前にエダラボンの初回投与を行うと,その腎障害はセファロチン・グリセロールのみを投与した群と比較してほぼ同程度(エダラボン1時間前投与群)ないしは軽度(エダラボン2及び4時間前投与群)であり,同時に併用投与した群の病変より明らかに弱いものであった.一方,セファロチン・グリセロール投与の1あるいは2時間後にエダラボンの初回投与を行うと,同時に併用投与した場合とほぼ同程度の障害が認められた.したがって,セファロチン・グリセロールを投与する前にエダラボンをずらして投与することにより,同時併用投与によるラット腎障害の増幅作用は,軽減することが明らかになった.
著者関連情報
© 2005 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top