日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-34
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一般演題(口頭)
モルモットにおいて加齢が心電図QT間隔に及ぼす影響
*塩谷 元宏原田 拓真阿部 純子浜田 悦昌堀井 郁夫
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抄録
【目的】我々は既にテレメトリー送信機を埋設したモルモットを用いて,ヒトでQT延長作用が知られている薬物によるバリデーション試験を実施してきた(第31回日本トキシコロジー学会発表)。一方,一般にヒトや他の実験動物モデルにおいて,QT間隔は心拍数以外にも加齢,概日リズム等に影響を受けることが確認されている。今回我々はモルモットのQT間隔の特性をさらに明らかにする目的で,加齢がQT間隔に及ぼす影響を検討した。【方法】6週齢(若齢群,n=6)および23カ月齢(老齢群,n=4)のHartley系雌モルモットを用い,テレメトリーシステムで記録した心電図からRRおよびQT間隔を計測し,1.QT間隔の正常値,2.QT間隔の概日リズム,3.最適QT補正式(QTc算出式)について加齢の影響を検討した。さらに,E-4031(0.1 mg/kg)またはterfenadine(4 mg/kg)を静脈内投与し,QTcへの影響を比較した。【結果および考察】若齢群ではQT間隔の正常値が114±3 msecであったのに対し,老齢群では135±9 msecと,モルモットでもヒトと同様に加齢に伴うQT間隔延長が認められた。しかしながら,両群ともに明瞭な概日リズムは観察されなかった。QT補正式は,両群ともにQTc = k x QT/RR1/2が最適であったが,係数(k)はQT間隔延長と連動して増加した。E-4031投与では両群ともほぼ同程度のQTc延長を示したのに対し,terfenadine投与では23ヶ月齢でより明らかなQTc延長が認められ,薬物に対する反応性が加齢とともに変化する可能性が示唆された。
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© 2005 日本毒性学会
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