日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-19
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内分泌攪乱化学物質、生殖毒性、毒性発現機構
カドミウムによるマウス精巣毒性発現の投与時刻による変動
*大谷 勝己柳場 由絵外川 雅子長谷川 達也三浦 伸彦
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抄録
生体リズムと生体影響発現との関連については、古くから指摘されてきているところではあるが、具体的にいつどのような影響があるのかを明確に示した実験データは少ない。我々が扱ってきた重金属のうち、カドミウムは内分泌撹乱作用が指摘され、精巣が標的臓器の一つとされている。そこで、今回カドミウムの投与時刻がマウスの精巣毒性に与える影響を腹腔内投与および皮下投与で解析した。
 雄性マウス(C57BL/6J、5週齢、雄)を飼育環境下(照明ON: 8-20時)で2週間馴化後、カドミウム(CdCl2)4.5mg/kgを1回腹腔内投与した。また、皮下でも4.0および6.0㎎/kgを同様に1回投与した。投与時刻は14:00 (ZT06)および2:00 (ZT18)を選択した。溶媒(生食)のみの対照は各投与時刻に設けた。腹腔内投与6日後(皮下では10日後)に体重を測定するとともに、エーテル麻酔下で解剖し左右の精巣、精巣上体および精巣上体尾部の重量を測定した。さらに、精巣および精巣上体尾部の精子数を計測するとともに、精巣上体尾部の精子を0.5%ウシ血清アルブミン含有M199培地に37℃で浮遊させ、精子運動能解析装置(HTM-IVOS)により精子運動能のパラメーターを測定した。
 腹腔内投与でも皮下投与でも、体重および臓器重量に変化は認められなかった。しかし、4.5mg/kg腹腔内投与群および6mg/kg皮下投与群では、精子、精子運動率および前進精子率が対照群に比べ14:00 (ZT06)の投与群で有意に低下していた。他方、2:00 (ZT18)の投与群ではその様な低下は認められなかった。以上の結果から、カドミウムの投与時刻の違いによって精巣毒性の発現の程度が異なり、明期で強く出る可能性が示された。
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© 2012 日本毒性学会
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