日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-121
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菜種(カノーラ)油摂取が脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の病態悪化を促進する機序
*小野田 早恵内藤 由紀子立花 滋博河村 さやか大原 直樹吉川 真衣新美 まどか川口 真帆宮澤 大介安井 裕子山田 和代奥山 治美
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抄録

菜種(カノーラ)油摂取は、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の背景病態(高血圧症、血管傷害等)を増悪して、その生存日数を短縮する(対照は大豆油摂取動物)。カノーラ油摂取はSHRSPの血漿テストステロンレベルを低下させ、アルドステロンレベルを上昇させるが、ステロイドホルモンレベルへの影響を広く検討した報告はない。本研究では、カノーラ油摂取がSHRSPのステロイドホルモン代謝および腎組織Na+, K+-ATPase活性に及ぼす影響について検討した。【方法】5週齢の雄性SHRSP 20匹を1群10匹から成る2群に分けた。AIN-93組成の精製飼料から油脂を除いた基礎飼料に、大豆油またはカノーラ油10w/w%を添加し、それぞれの群に8週間自由摂取させた。8週間摂取後に動物を解剖し、血液生化学的、病理学的検討を加えるとともに、血漿および精巣中ステロイドホルモンレベルをLC-MS/MSで測定した。また、腎組織のホモジネートを作製し、Na+, K+-ATPase活性をリンモリブデン青法で測定した。【結果】カノーラ油摂取群では、大豆油摂取群と比較し、血漿および精巣のテストステロンレベルが低下し、血漿中アルドステロンレベルが上昇した。このとき、DHEAも減少する傾向を示した。13C-プロゲステロンからの13C-17α-ヒドロキシプロゲステロン、13C-アンドロステンジオンの生成を指標に調べた精巣のCYP17活性は、カノーラ油群で低下する傾向が認められた。アルドステロンの上昇による腎Na+, K+-ATPase発現の上昇を推定したが、カノーラ油摂取群でNa+, K+-ATPase活性が上昇する傾向がみられたものの、有意差は認められなかった。【まとめ】カノーラ油摂取群では、精巣におけるテストステロン生成の抑制が確認され、そこには精巣におけるCYP17活性の抑制が関与することが示唆された。このカノーラ油摂取群では、血圧の上昇、糖負荷実験による糖取り込みの抑制等、SHRSPの背景病態悪化に関わる変化が認められた他、肝、腎ではG6PDの活性増大が認められた。これらの変化と、カノーラ油摂取によるSHRSPの生存日数短縮機序との関連について考察する。

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© 2012 日本毒性学会
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