抄録
【目的】第38回学術年会において,マイクロミニピッグ(MMPig),クラウン系,NIBS系及びゲッチンゲン系ミニブタの無傷皮膚を用いた皮膚一次刺激性の検討を行い,刺激性に対する感受性に系統間差がみられないことを報告した.今回,MMPigを用いて,刺激性が確認されているジメチルスルホキシド(DMSO)及び10 w/w% ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)軟膏を無傷及び損傷皮膚に塗布し,皮膚一次刺激性について検討を行った.
【方法】投与前日に,3匹のMMPigの背部皮膚を電気バリカン及びシェーバーを用いて剪毛及び剃毛した.動物1匹につき2.5 × 2.5 cmの面積で6箇所設定し,そのうち3箇所には18ゲージの注射針を用いて,真皮まで達しないように角化層に井げた状に傷をつけ(損傷皮膚),他の3箇所を無処置(無傷皮膚)とした.無傷及び損傷皮膚の各1箇所にDMSO(0.5 mL)あるいは10 w/w%SLS軟膏(0.5 g)を均一に塗布し,リント布,パラフィルム及び不織布粘着包帯で固定した.更に自着性弾力包帯で保護した後,ネット包帯で固定し24時間閉塞貼付した.対照群として生理食塩液(0.5 mL)を同様に塗布した.貼付終了後1,24及び48時間に観察を行い,Draize法を用いて皮膚反応の判定を実施した.また,貼付除去後48時間の判定終了後,病理組織学的検査を行うために皮膚を採取した.
【結果】DMSOあるいは10 w/w% SLS軟膏を投与した投与部位(無傷及び損傷皮膚)では,非常に軽度な紅斑(評点1)が貼付除去後1及び24時間に1あるいは2例でみられたが,無傷及び損傷皮膚の間で刺激性の差はみられなかった.また,無傷皮膚の刺激性については,昨年報告した結果と同様な反応(非常に軽度な紅斑)を示した.現在,投与部位の病理組織学的検査を実施中であり,その結果も合わせて報告する予定である.