日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-24
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ウサギにおけるSodium Iodateによる網膜毒性の検出
*塚本 俊平奥原 裕次
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抄録
【目的】
 Sodium Iodate(SI)のウサギ網膜への影響について,2種類の測定装置を用いた網膜電位図(ERG)で検討すると共に病理組織学的検査についても実施した。
【方法】
 異なる2施設において,それぞれウサギ(日本白色種, 11~12週齢)に20 mg/kgのSIを単回静脈内投与し,投与3, 8, 24, 48および96時間後に,白色LED内蔵コンタクトレンズ型電極(LED),またはGanzfeld dome型光刺激装置(Ganz)を用いて,麻酔下でISCEVのプロトコール(杆体応答,混合応答,錐体応答,律動様小波および30 Hzフリッカー応答)に準じた方法によりERGを記録した。また,投与3, 8, 24, 48および96時間後に眼球を摘出し,病理組織学的検査を実施した。
【結果】
 LEDおよびGanzに共通して,すべての応答の振幅が24時間以降に経時的に減弱し,96時間後までに波形はほぼ消失した。杆体応答および混合応答b 波の振幅は,投与3時間後および8時間後でLEDでは減弱を示したが,Ganzでは増加を示した。病理組織学的検査では,投与初期に色素上皮細胞の変化,24時間後に視細胞の変化が認められた。
【考察】
 本条件下におけるLEDおよびGanzを用いたERGの記録および病理組織学的検査により,ウサギのSI投与による網膜障害の経時的な変化を検出することができた。投与後8時間までの杆体応答および混合応答の振幅データが,LEDとGanzで異なった原因は不明であるが,SI投与後の網膜障害の経時的な変化に両施設で違いがあったためと推察された。
注:本実験結果の一部は,第31回比較眼科学会年次大会で発表されたものである。
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© 2012 日本毒性学会
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