日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-54
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生殖能力及び精子形成能から見た雄性RccHan:WISTラットの性成熟時期
*高倉 郁朗横井 亮平寺島 ゆかり小野里 知哉丸山 喜正茅野 友信田原 享田村 啓小林 一男Dianne M CREASY黒田 淳二
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抄録
【目的】国内の非臨床安全性試験にはSprague Dawleyラットが広く用いられているが,海外ではWistar Hannover (Wistar Han)ラットが主要な系統の一つであり,国内においても注目されている。生殖発生毒性試験では,交配に性成熟動物を用いることが推奨されているが,両系統間における雄の性成熟時期の違いが指摘されており,用いる系統によって,この点を考慮する必要がある。そこで,雄性Wistar Hanラットの交配適期を明らかにするため,週齢による生殖能及び精子形成能等の比較を行った。【材料と方法】RccHan:WISTラットの雌12週齢を8,10あるいは12週齢の雄のケージに一晩同居させ,翌朝交尾判定した。雄は交尾成立当日に剖検し,精巣上体尾部の精子検査(精子数,精子運動性,精子形態等)及び精巣における1日当たりの精子産生数を算出するとともに,精巣,精巣上体,精嚢及び前立腺を組織学的に検索した。雌は交尾成立後20日に子宮内を観察し,受胎の有無を確認した。【結果】交尾率に差は認められなかったが,受胎率に8週齢で低い傾向が認められた。精子検査では8週齢は精子数,精子運動性及び精子形態において,10週齢は精子数及び精子形態において12週齢に比べて未熟であった。組織学的検査では,精巣上体尾部において8週齢では10及び12週齢に比べて精巣上体管上皮が未熟であった。子宮内観察の結果,8週齢の雄と交配した雌では着床前胚損失率が高く,同腹生存児数が少なかった。【結論】Wistar Hanラットの雄は,8週齢から10週齢にかけて性成熟過程にあり,12週齢で成熟することが示唆されたことから,生殖発生毒性試験の交配には12週齢以降の雄を用いることが推奨される。
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© 2012 日本毒性学会
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