日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-34
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一般演題 口演
放射線障害の未分化造血幹・前駆細胞に限局した照射週齢に依存しない遷延性変化とその加齢影響:細胞動態と遺伝子発現プロファイル
*平林 容子壷井 功五十嵐 勝秀菅野 純楠 洋一郎
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抄録
全身照射をうけたマウスの急性応答に対する感受性は、造血器では若齢期で成体期よりも高く、放射線誘発白血病の発症頻度の報告とも符合していた。一方、照射による遷延効果は、被爆時の週齢によらず、より未分化な造血幹・前駆細胞に限局して長期に遺残することを見出した。即ち、6週齢と6ヶ月齢のマウスにそれぞれ2Gyのガンマ線の単回全身照射を行うと、6ヶ月齢群では、6週齢群と比べて分化型の血球も造血幹・前駆細胞分画も、照射直後の数の減少の程度は少ない。更に、6週齢群で観察された造血前駆細胞におけるBrdUrdの取り込み抑制も6ヶ月齢群では認められなかった。その後の回復は、既報の6週齢群同様、6ヶ月齢群でも、分化型の血球数は速やかに回復するが、造血幹・前駆細胞分画では分化階層の低いほど回復が遅延し、より未分化な造血幹細胞(LKS)分画では、18ヶ月齢(照射12ヶ月後)でも対照群の61.9%の回復に留まった。興味深い事に、2週間ないし、6週間にわたりBrdUrdを飲水投与したマウスのLKS分画におけるBrdUrdの標識率は、照射4週以降22.5ヶ月齢までの観察した限りの全ての時点で、6週齢照射群でも6ヶ月齢照射群でも非照射対照群よりも高かった。一方、generation doublingを反映すると考えられる2週間と6週間の標識率の比は、逆に照射群で低値に留まった。尚、照射4週後の標識率に限って、急性期応答の差異と同様、6週齢群の方が6ヶ月齢群より高値を示した(6週齢群vs.6ヶ月齢群:2週間標識1.36倍、1.21倍;6週間標識1.17倍、1.06倍)。更に、照射4週後の骨髄細胞における網羅的遺伝子発現解析で浮上した細胞増殖やアポトーシスの関連遺伝子に注目して定量PCR法で解析したところ、既報の6週齢群と同様6ヶ月齢群でも、照射15ヶ月後のLKS分画でのみCcnd1Fyn及びPiK3r1の過剰発現が認められた。照射による遷延効果は加齢変化を促進することが示唆されており、以上の結果もこれに符合するものとして興味深い。
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© 2015 日本毒性学会
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