日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-225
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一般演題 ポスター
HepaRG細胞を用いた肝細胞毒性評価
*本間 俊樹坂本 栄田中 信之
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抄録
【背景および目的】薬剤誘発性肝障害(Drug-Induced Liver Injury;DILI)発症は医薬品を使用する患者さんに健康上の不利益をもたらし、製薬企業においては医薬品の市場からの撤退や臨床開発中止の原因となりうるため、創薬研究の早い段階からDILI発症リスクの低減を目指したスクリーニングが肝要である。ライン化ヒト肝細胞HepaRGは、初代培養肝細胞に匹敵する肝機能特性を有し、安定して入手可能で再現性も得やすいため、様々なin vitro創薬スクリーニング系への応用例が報告されている。今回我々は、DILI発症報告がある医薬品を用いてHepaRG細胞における各種毒性パラメーターに対する影響を検討し、主要な肝機能マーカーであるAlbumin量の低下が高感度に肝細胞毒性を検出しうることを見出した。またAlbumin分泌抑制メカニズム解析の一端として小胞体(ER)ストレスに注目してさらなる検討を行った。
【方法】HepaRG細胞を広範な濃度域の各薬剤(Diclofenac, Benzbromarone, Omeprazole, AcetaminophenおよびCimetidine)で48時間処置し、各種パラメーター<LDH, Albumin(培養上清),DNA, ATP, Caspase-3/7, GSH(細胞画分)>を測定した。ERストレスに関する実験ではThapsigarginを処置した時の各種パラメーター測定および遺伝子発現の検討を行った。
【結果および考察】DILI発症リスクを有する薬剤において、Albumin量は他のどのパラメーターよりも低い濃度域から抑制傾向を示しており、肝細胞毒性の高感度なマーカーとして有用であると考えられた。またERストレスを惹起する化合物においても培養上清中のAlbumin量が著しく低下していたことから、そのメカニズムの一つとしてERストレス経路の活性化が関与しうることが示唆された。
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© 2015 日本毒性学会
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