日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: S4-3
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シンポジウム4 ナノマテリアルの毒性評価の進捗
ナノ材料毒性評価の海外動向とRedox Potential評価法
*鶴岡 秀志
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抄録
ナノ材料の毒性評価は2005年から本格化したが、材料の毒性個別評価から標準的な評価Protocolの提案を経てNano Toxicologyという新分野の確立に至っている。さらに論文データや化学反応物性を活用した毒性推定の段階に移行している。当初は腹腔試験(IP)により毒性有無の判別が行われ、濃度やPathological判断について様々な意見が出た。現在でもIPは初期評価として有用な手段と位置付けられる。その後、CNT毒性評価で多くの研究機関がMitsui MWNT-7を使用することが進み、研究機関相互間の評価判定方法についての共通基盤理解が醸成されin vivo/in vitro評価の統一的Protocolが確立されてきた。昨年10月にIARC MonographにMitsui-7が掲載され、初めてナノ材料で基準物質及として認識されたことは記憶に新しい。CNTのがん性InitiationとPromotionのNIOSH論文発表後、米国はナノ材料の細胞小器官内挙動とDNA/RNAに対する作用に注目した研究を推進している。さらに工業化進捗からMicro-Bioに加えて環境暴露における複雑なナノ材料挙動を化学反応性から評価するRedox Potential(RP)の重要性に関心が高まっている。今まで議論の中心だった物理的物性よりRP評価法は化学量論に立脚して生物学的反応に最も近く論理が明快なので注目されている。欧州では脱動物使用の観点からNanosafety Cluster Programにより網羅的にデータを扱いBig Data数値計算で毒性を推定するQSAR/QNAR手法の開発が推進されている。過去の論文は玉石混交なので同Programでは再現性を求めた評価研究が遂行され論文として発表されつつある。本講演では欧米の研究動向とRP法を中心に説明する。
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© 2015 日本毒性学会
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