日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-250
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一般演題 ポスター
ビッグデータを利用した薬物化学構造に由来するoff-targetのin silico推測
*小林 好真松本 考弘中本 有美伊東 悟匂坂 綾子森 和彦国本 亮
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抄録

【背景・目的】創薬過程においてはoff-targetに起因する毒性回避を目的としてin vitroアッセイパネルが利用される。しかし化合物量・時間等の観点から実施される化合物数・標的数には限界がある。一方で近年、ChEMBL、PubChemに代表される化合物構造と薬理活性のビッグデータが集積されている。今回、社内化合物に関して、off-target実測結果と、これら化合物構造・活性ビッグデータを用いたoff-target推測結果とを比較し、in silico off-target推測手法の活用方法を検証した。
【方法】<実測値>主に社内化合物の受容体結合阻害パネルアッセイデータ(820化合物、35046データ)、及びkinase阻害パネルアッセイデータ(725化合物、67725データ)。<推測手法>以下の3手法を比較した。(1) ChEMBL でsimilarity searchを行いヒットした化合物の作用標的を参照した。(2)スーパーコンピュータ「京」活用プロジェクトにおけるChemical Genomics-Based Virtual Screening手法で得られたkinase阻害予測値DBに対して(1)と同様にoff-targetを推測した(Ref 1)。(3)市販のoff-target作用予測ツールCT-link (Chemotargets Inc.)を利用した。
【結果・考察】(1)(2)とも、similarity > 90%の化合物に対する陽性的中率(推測陽性が実測陽性となった割合)は40-50%であった。Similarity < 80%では20%未満であった。(3)では一部の化合物群で80%を越える陽性的中率を得た。一方、陽性検出率(実測陽性が推測陽性となった割合)は、(1)(2)とも最高で18%であったが、(3)では9%程度であった。(1)(3)の併用で陽性検出率は25%まで向上した。以上より、in silico off-target推測は、HTSヒット化合物骨格の順位付け、又は実測すべきoff-targetの事前選定等、創薬初期における一次評価に活用可能と考えられた。
 Ref 1.: 国本亮 第42回日本毒性学会学術年会, 金沢, 2015.

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