【目的】今回、ヒト加齢性・進行性難聴と類似し、高音域の難聴を発症するC57BL/6J(以下、B6)マウスを用いて、聴覚毒性作用を有する薬物を投与することにより、聴覚毒性の発現の有無を確認した。
【方法】群構成は正常群、Furosemide群、Cisplatin群、両薬剤の併用群を設定し、18日間の反復投与を行った。マウスの聴力測定は8、16および32 kHzの周波数の刺激に対するABRを投与後19日に測定した。さらに、螺旋神経節細胞(SGC)をH.E.染色により観察した。
【結果】Furosemide群およびCisplatin群では、8および16 kHz対するABR閾値は正常群と比較して有意な差は認められなかったものの、32 kHzでは有意な聴力低下が認められたことから、周波数が高くなるにしたがって聴力低下は重篤化する傾向がみられた。両薬剤の併用群では、聴力低下がより顕著になった。