日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-151
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ポスターセッション
Gefitinib及びNaphthalene誘導性肺障害モデルマウスを用いたバイオマーカーとしての血中miRNA探索
*大矢 寛子織田 進吾横井 毅
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抄録

【背景・目的】薬剤性肺障害は医薬品開発及び薬物治療における重大な問題である。薬剤性肺障害の診断には高分解能CT及び血液SP-D等が用いられるが、各種肺疾患における疾患特異性は不十分であるため、より客観的な指標が求められている。本研究では、薬剤性肺障害の発症を検出できる血中バイオマーカーとしてのmicroRNA (miRNA) を探索した。【方法】肺障害マウスモデルの作成は薬剤性肺障害の報告が多い薬剤の一つであるgefitinib (Gef) を用いた既報の報告に修正を加えて作成した。7週齢の雌性C57BL6/Jマウスに、day -1からday 13までGef (300 mg/kg) を1日1回経口投与し、day 0にnaphthalene (Naph) (150 mg/kg) を単回腹腔内投与した。Naph + Gef群の他に、Vehicle群、Naph群及びGef群の単剤投与群を置いた。Day 3、7及び14に解剖を行い、血漿及び肺を採取した。肺組織をヘマトキシリン・エオジン染色及び抗ミエロペルオキシダーゼ (MPO) 抗体で免疫染色を行い、肺胞断面積及びMPO陽性細胞数を測定した。Day 14の肺 (各群n=3) からtotal RNAを抽出し、次世代シーケンサーにより網羅的にmiRNAの発現量を測定した。Vehicle群と比較してNaph + Gef投与群において増加あるいは減少したmiRNAを選択し、定量PCRにより個体別 (全時点・各群n=6) に肺組織及び血漿中での発現量を測定した。【結果・考察】Naph及びGefの併用群の肺組織において肺胞壁の肥厚が認められ、総合的にday 14で最も障害が強いと判断された。肺組織における網羅的miRNA発現解析、及び定量PCRによる発現解析より、Naph + Gef群において肺障害の病態の進行に相関して肺組織及び血中で上昇または低下するmiRNAを複数同定した。以上より、血中miRNAは薬剤性肺障害の病態の進行を診断するバイオマーカーとして利用できる可能性が示された。

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