日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-30S
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ポスターセッション
分化THP-1細胞を用いた皮膚感作性試験の検討
*三浦 結美澤田 結花小林 英恵尾形 信一板垣 宏飯島 一智
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抄録

現在、化学物質の皮膚感作性評価法の1つとしてヒト単球由来細胞株THP-1細胞を用いるHuman cell line activation test (h-CLAT)が確立されている。この方法は化学物質だけでなくタンパク質の皮膚感作性評価への適用が検討されている1)。また、THP-1細胞はPhorbol 12-myristate 13-acetate (PMA) で刺激することでマクロファージ様細胞に分化することが報告されている2)。そこで本研究では、分化THP-1細胞を用いて化学物質及びタンパク質に対する反応性を評価し、未分化THP-1細胞の反応性との比較を行い、その有用性について検討した。まず、温感剥離器材上でTHP-1細胞をPMAを含む誘導培地で72時間培養後、通常培地で5日間培養することにより分化誘導を行った。大半の細胞が接着し偽足の伸展が見られるなどマクロファージ様の形態に変化した。冷培地を添加し細胞を剥離・回収し、分化マーカーであるCD11cの発現量、蛍光標識latexビーズの取り込み量をフローサイトメーターを用いて測定し機能的な評価を行った。CD11cの発現量、latexビーズの取り込み量はともに未分化の細胞と比べて増加した。これらより分化誘導を行った細胞は形態的にも機能的にもマクロファージ様細胞に分化していることが示唆された。h-CLATのプロトコールに従い、得られた分化THP-1細胞に化学物質を24時間暴露し、h-CLATで指標とされるCD86およびCD54の発現量を測定した。感作性物質である2,4-Dinitrochlorobenzene (DNCB) を暴露すると未分化および分化THP-1細胞どちらもCD86とCD54の発現が増加した。今後は他の化学物質やタンパク質についても検討し、皮膚感作性評価における分化THP-1細胞の有用性を判断する。

参考文献

1) H. Tsukumo, et al., J. Pharmacol. Toxicol. Methods., 92, 2018, 2) M. Daigneault, et al., PLoS ONE, 5, e8668, 2010.

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© 2019 日本毒性学会
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