日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S20-1
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シンポジウム20
ヒトiPS細胞技術を用いた抗がん剤の心毒性評価法の開発と標準化
*諫田 泰成
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抄録

近年、抗がん剤治療の進展により、癌患者が長期にわたって生存できるようになった。それに合わせて、分子標的薬など抗がん剤の心血管毒性がクローズアップされることとなった。がん治療において、抗がん剤の進歩により治癒率の向上がみられるが、その一方で抗がん剤による副作用、特に心血管系毒性が生命予後を左右する大きな要因となりつつある。従って、がんに対する有効な治療を継続するために、心血管系毒性を予測して、そのメカニズムを明らかにすることが重要である。これまでに我々は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて、催不整脈作用の発生リスクを評価できることを明らかにしてきた。抗がん剤の心毒性は、不整脈以外に、左心室機能障害など多岐にわたるため、さらにヒトiPS細胞由来心筋細胞の利用が期待される。今回、我々はイメージングな技術などを活用して収縮評価系を構築し、チロシンキナーゼ阻害剤などによる毒性を評価出来ることを明らかにしており、今後、多施設間での検証を進める予定である。本シンポジウムでは、抗がん剤の心血管毒性の現状と今後の展望に関して議論したい。

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