日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-32S
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ポスターセッション
Fe3O4-PEG-PLGAの経気道曝露による野生型およびNrf2欠損マウスの肺への影響の評価
*佐藤 春恵宗 才Stéphanie DEVINEAUClaire MCCORD市原 佐保子Oliver BROOKESFrederick Adams EKUBAN伊東 健山本 雅之Sonja BOLANDArmelle BAEZA-SQUIBAN市原 学
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抄録

近年、様々なバイオナノマテリアルが開発され、ナノ医療や多くの産業分野に応用されている。Fe3O4-PEG-PLGAナノ粒子はがん温熱治療への利用が期待されているが、安全性は評価されていない。本研究はFe3O4-PEG-PLGA曝露による肺への影響を評価することを目的とする。

方法:C57BL/6JJcl野生型雄マウスとNrf2-/-マウスにそれぞれ0、10、30 μgのFe3O4-PEG-PLGAを咽頭吸引法により単回投与した。曝露14日後にBALFを回収し、タンパク量測定・白血球数の計数を行った。BALF回収後の左肺切片でPrussian-Blue染色を行った。また右肺で炎症性サイトカイン・酸化ストレス関連物質のmRNA発現量をRT-qPCRにより測定した。

結果:Fe3O4-PEG-PLGA 30μg曝露群では野生型マウスでBALF中の総細胞・マクロファージ数、Nrf2-/-マウスでリンパ球・好中球・好酸数とタンパク質量が増加した。また、両マウスにおいて好塩基球数が増加した。肺切片のPrussian-Blue染色では両マウスの10、30 μg曝露群においてマクロファージによるFe3O4-PEG-PLGAの取り込みが見られた。Fe3O4-PEG-PLGA曝露により野生型マウスではSOD-1, GcLc, GcLm, MMP-2, TGF-β、Nrf2-/-マウスではTNF-α, KC, MIP-2の肺での発現が増加した。

結論:以上の結果より、Fe3O4-PEG-PLGA曝露はマウス肺において炎症性細胞の浸潤を誘導し、Nrf2はFe3O4-PEG-PLGA曝露による白血球遊走を抑制することが示唆された。

謝辞:Fe3O4-PEG-PLGAの供給に関し、BIORIMA(欧州Horizon2020)パートナー、とりわけISTEC-CNRとCOLOROBBIAに感謝します。

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