日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-180
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生殖発生毒性試験の課題とその対応(2) ―生殖発生毒性試験における最高用量の設定について―
*西村 享平伊藤 富美平形 美樹人棚治 隆史
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抄録

医薬品の生殖発生毒性試験法ガイドライン(ICH S5)が約20年ぶりに改訂され、2021年にガイドラインの国内通知化(Step5)に至った。改訂ガイドラインでは、用量設定の項目では本試験における高用量の設定根拠に関して、1)毒性に基づく用量設定指標、2)全身曝露の飽和に関する用量設定指標、3)曝露マージンに基づく用量設定指標、4)投与可能な最大用量(MFD)に基づく用量設定指標、5)限界量(1 g/kg)に基づく用量設定指標、の5つの用量設定指標の事例を挙げ、詳細な説明が加えられた。特に、3)については新たな考え方が加えられており、「妊娠動物における曝露量が、MRHD(ヒト最大用量)における曝露量の25倍を超えるのであれば、通常、生殖発生毒性試験における最大用量として適切である」という用量設定指標として明確な基準が設けられている。

改訂ガイドラインを踏まえた最適な用量設定方法について考察するため、我々は、既存の承認品目の生殖発生毒性試験における最高用量について調査した。調査対象試験を胚・胎児発生に関する試験に絞り、医薬品医療機器総合機構のホームページで公開されている2017~2021年度に承認された医薬品のCTD及び審査報告書を確認し、モダリティ・動物種による最高用量設定根拠の違い、毒性に基づき用量設定が行われた場合に要因となった毒性の種類の深掘り、本試験の最高用量における曝露量とMRHDにおける曝露量とのマージン値の算出等を行った。本発表では、これら集計結果に加え、改訂ガイドラインを踏まえた最適な用量設定方法についての議論内容を紹介する。

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