日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S31-1
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シンポジウム31: エピジェネティクス研究の新機軸〜モデル動物からヒトまで〜
幼児期ミダゾラム曝露による遅発性認知機能低下の分子基盤解明とその改善法
*中島 欽一土井 浩義松田 泰斗
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抄録

麻酔への早期ライフ曝露とその後の学習障害との関連は、子供たちとその家族にとって大きな関心事である。我々は、小児麻酔薬として広く用いられているミダゾラム(MDZ)の早期ライフ曝露により、マウス海馬の神経幹細胞(NSC)のクロマチンアクセシビリティおよび静止関連遺伝子の発現が持続的に変化することを明らかにした。この変化は、成体になっても持続的にNSCの増殖を制限し、その結果、ニューロン新生が減少し、海馬依存性の記憶機能の障害と関連することを明らかにした。さらに、自発的な運動は海馬のニューロン新生を回復させ、MDZで障害された遺伝子発現を正常化し、MDZ曝露マウスの認知能力を改善することを見いだした。これらの結果は、小児麻酔が脳機能に長期的な悪影響を及ぼす原因を説明し、その対策として可能な治療法を提供するものである。

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