目的 本研究は,妊婦のイライラ感と低出生体重児(LBW:Low birth weight)出生との関連を明らかにすることを目的とした。
方法 対象者は掛川市において令和4年4月から令和5年3月に出産した母親521人とした。母子健康手帳交付時に配布した自記式アンケートから妊婦の個人・環境因子,妊娠・出産歴の情報を得た。さらに,出生児カルテからLBWなどの今回の妊娠・出産に関する情報を得た。LBW出生の有無を目的変数,妊婦のイライラ感を説明変数とし,LBW出生と関連が報告されている妊婦の体型,喫煙習慣,高齢出産,在胎週数,妊娠合併症を調整したロジスティック回帰分析を行い,オッズ比と95%信頼区間を算出した。
結果 対象者のうち44人(8.4%)がLBWを出産した。LBW出生に対するオッズ比(95%信頼区間)は,妊婦にイライラ感があると4.39 (1.60-12.01)となり,LBW出生と有意な関連があった。
結論 妊婦のイライラ感は,LBW出生と関連があることが示された。今後,イライラ感を訴える妊婦に対する有効な保健指導介入の検討が望まれる。