東海公衆衛生雑誌
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生活支援コーディネーターの資源開発の現状と開発に関連する促進要因と阻害要因
鈴木 岸子
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2025 年 12 巻 2 号 p. 119-128

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抄録

目的 生活支援コーディネーター(以下「SC」)の資源開発の現状から,開発を促進する要因および阻害する要因を明らかにすること。

方法 機縁法を用いて募集したSC9人に対して,2021年3月から同年7月にかけて半構造化面接を実施した。逐語録は,促進要因と阻害要因にわけ,それぞれのコード,サブカテゴリ,カテゴリを生成した。分析には,うえの式質的分析法を用いた。

結果 SCの保有資格(複数回答)は,社会福祉士8人,保育士2人,保健師1人だった。配属協議体は,第1層協議体(以下「1層」)3人,第2層協議体(以下「2層」)5人,協議体無1人だった。資源開発(複数回答)は,主に,4人が総合事業を開発し(通い場づくり4件,買い物支援と訪問系各1件),5人は生活支援の担い手養成(養成講座の運営3件,人材確保2件)だった。さらに,地域の要望で,介護保険以外の資源開発が2件あった。促進要因は,4カテゴリ【住民主体を支援】【地域をコーディネートする知識・技術】【根回しからの信頼関係構築】【資源開発に活かす意図的な情報の収集と共有】を生成した。阻害要因は,2カテゴリ【SC業務に対する理解不足】【地域・地縁組織との関係構築の困難さ】を生成した。

結論 SC全員は,地域の状況に応じた資源開発に着手し,主な開発は地域支援事業だったが,介護保険制度以外の資源開発も見られた。促進要因は,SCが裏方に徹し住民主体を支援したこと,地域をコーディネートする知識・技術を用いて,様々な組織に根回しし,信頼関係構築をしたこと,さらに,資源開発に活かす意図的な情報の収集と共有があったことだと考えた。阻害要因は,所属組織や行政等のSC業務に対する理解不足と,地域・地縁組織との関係構築の困難さだと考えた。上記に加え,配属協議体別の発言から,SCの活動区域,配置人数,配属協議体の有無も,促進・阻害要因に影響したと考えた。

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