目的 春日井市が行う離乳食教室に参加した母親の食生活,調理技術および離乳食に関する実態を把握し,離乳食教室をより効果的なものにするための基礎資料を得ることを目的とした。
方法 平成27年8月から12月に春日井市が開催した計10回の離乳食教室に参加した生後4~5か月の乳児を第一子に持つ母親201人を対象に自記式質問紙調査を行い回答のあった195人(回収率97%)を分析対象とした。調査項目は,調理への嗜好および自信,調理技術8種類(以下,調理技術8種)個々の取得状況,調理技術8種の内6種に対応する料理6種類(以下,料理6種)の実施状況,調理加工済み食品の利用状況,朝食の喫食状況,食生活の満足度,離乳食に関する不安等についてである。単純集計以外に,調理技術の取得状況と料理6種の実施状況との関連,離乳食に関する不安,調理加工済み食品の利用状況,食生活の満足度等と調理技術全般の取得状況(調理技術8種個々の取得状況を集約した。)との関連,調理加工済み食品の利用状況等と食生活の満足度との関連についてPearsonのカイ2乗検定により分析した。
結果 対象者の年代は,20代が3割,30代が6割であった。朝食を毎日は食べないは2割,調理が好きは7割であった。調理技術8種の取得状況は「ほうれん草のあく抜き(ゆでる)」,「茹でたじゃがいもをすりつぶす」は約9割と多く,「鰹や昆布からだしをとる」,「シラスの塩抜き」は順に約5割,約4割と少なかった。調理技術がある場合には対応する料理(例:豆腐の裏ごしと白和え)を作り,「ほうれん草のお浸し」,「ポテトサラダ」,「白和え」は有意であった。調理加工済み食品の利用割合が少ない,食生活に関する満足度が高い,離乳食に関しての不安が少ない場合に,調理技術全般の取得状況の高い割合が有意に多かった。また,調理加工済み食品の利用割合が低い場合に食生活に満足している割合が有意に高かった。
結論 調理技術があることと料理の実施頻度や食生活の満足度には正の関連が認められた。調理技術がない場合に離乳食の作り方に不安を抱く者が多いことや母親の約2割に朝食欠食の習慣がみられたことから,離乳食教室では調理技術の取得や正しい食習慣の形成を目的とした教育が必要であると推察された。