東海公衆衛生雑誌
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市町村の個人情報保護条例における学術研究条項の有無と学術発表について
大西 丈二進藤 信子
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2020 年 8 巻 1 号 p. 90-93

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抄録

目的 愛知県および三重県の各市町村が定め公表されている個人情報保護条例のうち,学術研究に関する条項の有無を把握するとともに,当該市町村における医学系学術研究の活動度との関連を明らかにする。

方法 本研究は,愛知県および三重県内の全市町村を対象とし,各市町村の個人情報保護条例において,「研究」の語が含まれるか否かを調査した。2019年4月現在,全市町村において,個人情報保護条例がインターネットで確認することができ,本調査はすべてWEBから情報収集を行った。各市町村の学術発表については,医学中央雑誌(医学中央雑誌刊行会)に掲載されている,2018年に市町村職員によって報告された研究発表数を数えた。

結果 個人情報保護条例の中に学術研究の語が含まれたのは,83自治体中58自治体(69.9%)であった。そのうち愛知県は54自治体のうち40自治体(74.1%),三重県は29自治体のうち18自治体(62.1%)であった(p = 0.187)。学術発表は,愛知県の市町村では平均0.44 ± 1.28件(平均±標準偏差,以下同),三重県では0.10 ± 0.31件であった(p = 0.068)。学術発表の件数は,学術研究に関する条項が有る自治体では平均0.34 ± 1.00件,無い自治体では0.28 ± 1.21件で,条項有無による有意な差はなかった(p = 0.800)。

結論 愛知県および三重県の全市町村の個人情報保護条例において,学術研究に関する条項が有るのは69.9%であった。個人情報保護条例の有無によって,医学系学術研究発表数に有意な差は認められなかった。

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