2020 年 8 巻 1 号 p. 85-89
目的 地域で行なう減塩指導で活用するため,「24時間蓄尿体験会」で得られたデータを用いて,ナトリウム排泄量,カリウム排泄量および24時間蓄尿中ナトリウム/カリウム比率(mEq/mEq)(以下,ナトカリ比)を評価することを目的とした。
方法 対象は,静岡県西部健康福祉センター職員および管内7市町職員および食生活推進員とし,2018年10月1日又は15日の提出にあわせ,起床後第2尿から,翌日の起床後第1尿まで24時間尿比例採集器(ユリンメート®を用いた1/50採尿)により採集(ナトリウム,カリウム,クレアチニン,尿一般検査)した尿および自記式食塩摂取量チェック票(「お塩のとりかたチェック票」)および問診票(性,年齢,自己申告の身体計測値,食塩摂取量に関する意識等)データを用いた観察研究(横断研究)を実施した。
結果 女性74人(参加者89人中,除外基準該当者および男性を除く)の結果から,24時間蓄尿中ナトカリ比と年齢や体重との関連は見られなかった。減塩に対する意識の高い人のナトカリ比は(2.91)で,意識の低い人(3.87)より有意に低く,食塩排泄量が少ない人のナトカリ比は(2.59)で,食塩排泄量が多い人(3.51)より有意に低く,カリウム排泄量が多い人のナトカリ比は(2.54)で,カリウム排泄量が少ない人(3.65)より有意に低かった。
結論 地域で行なう減塩指導においては,食塩摂取量を減らし,カリウム摂取量を増やすことを目指すが,ナトカリ比という客観的指標を活用することにより,より効果的な減塩指導が期待できる。