2007 年 10 巻 3 号 p. 011-018
本研究では,駅周辺の居住者に着目し,その特定駅周辺に居住する全世帯を対象としたTFPを企画・実施し,その効果を検証した.その結果,既に鉄道を利用している世帯に鉄道利用回数の増加が見られたほか,あまり利用していない世帯については,年に数回から月に2回程度,頻度にして約6倍の神鉄利用回数の増加が見られた.自動車利用についても,既に鉄道を利用している世帯にバス無料チケット付きTFPを実施すると自動車走行距離が約3割減少し,その影響は心理的な部分にも及ぶという効果が得られた.これらは,TFPによって特定の駅の駅勢圏を対象として,鉄道路線の利用促進を図るというアプローチが一定の有効性を持ちうることを示すものと言える.