今世紀に入り我が国の自動車保有数増加率は徐々に鈍化してきた.とくに,昨年度は0.2%の増加に留まった.これは,高度成長期以降前例のない低率である.本年度前半の新車販売も引き続き低調で,昨年同期を9%近く下回っている注1).年度後半もこの傾向が持続すれば,本年度末には保有数が減少する可能性もある.本報告は,戦後における我が国自動車普及の特徴を指摘したうえ,東京等大都市圏の中核を形成する5都府県等における自家用乗用車について最近の普及状況を分析することにより,自動車普及の現状を明らかにするとともに,今後を展望したものである.