2014 年 17 巻 2 号 p. 020-027
大手民鉄・JR・地下鉄では,認可運賃の基礎となる総括原価の算出において,一部にヤードスティック方式を用いており,特に各鉄道事業者のデータを用いた重回帰分析によるコスト算出を特徴としている.本研究は,大手民鉄を対象とした重回帰モデルについて,経済学的,統計学的な信頼性の検証を行ったが,1997 年の適用開始から15 年を経た現行モデルは,パラメータの符号,有意性に関していくつかの問題を抱えており,見直しの必要性があることが分かった.一方で,近年,関東と関西(関東以外)の大手民鉄における経営環境の違いが指摘されるが,重回帰分析において明確な地域差は見られなかった.