2014 年 17 巻 3 号 p. 015-026
多地域システムにおける計量的な便益評価の代表的手法である空間的応用一般均衡(SCGE)モデルは,標準的な定式化においては,基準均衡データとして国際産業連関表または地域間産業連関表を用いるが,それがモデルにおける地域分割の制約となっていた.こうした状況に対し,近年,異なる空間スケールを整合的に扱った国際地域間産業連関表の整備が進んでいる.本研究は,国際地域間産業連関表のフォーマットを前提として,国内・国際輸送のシステム改善の評価を整合的に分析可能なSCGE モデルの標準形を構築するとともに,コンテナ港湾整備政策がもたらす国別地域別の効果について分析を行った.