景気の低迷,燃料費の高騰等に伴って,特に2000年代の後半に航空需要が減退し,国内線地方路線において航空会社の路線撤退が多く発生した.本研究では,2001年~2010年における路線撤退・休止に至るまでの実績データを網羅的に精査しその要因分析を行った.さらに,地方路線が粛々と維持される欧州の状況の分析,および近年変遷を遂げつつあるわが国民間航空の現況と将来ポテンシャルへの分析を踏まえた上で,今後の地方路線の維持・拡充のためにあるべき方策と方向性について考察を行った結果,(1)リージョナル航空/リージョナル小型機の活用,(2)LCCの地方路線への進出の奨励,(3)足らざる部分を補完する支援制度,が有効であるとの結論に至った.
多地域システムにおける計量的な便益評価の代表的手法である空間的応用一般均衡(SCGE)モデルは,標準的な定式化においては,基準均衡データとして国際産業連関表または地域間産業連関表を用いるが,それがモデルにおける地域分割の制約となっていた.こうした状況に対し,近年,異なる空間スケールを整合的に扱った国際地域間産業連関表の整備が進んでいる.本研究は,国際地域間産業連関表のフォーマットを前提として,国内・国際輸送のシステム改善の評価を整合的に分析可能なSCGE モデルの標準形を構築するとともに,コンテナ港湾整備政策がもたらす国別地域別の効果について分析を行った.
本稿では,わが国の自動車運送事業における運転時間に係る基準がどの程度の安全基準であるのか,その設定の考え方について論じることを目的とした.その際,諸外国の例としてEUと米国における考え方を参考にした.検討の結果,労働基準からの準用ではなく運転時間の観点からの基準の設定,各規定で用いられている諸概念の定義とそれらの間の関係付けの検討,事業者のみならず運転者自らによる運転時間の管理の必要性,について指摘した.さらに,わが国の運転時間基準について近年の運用実態を把握し運用面の課題を提示した.