運輸部門を対象としたわが国の費用対効果分析マニュアルの多くは,地球温暖化の評価を実施することを推奨している.しかし,わが国では温暖化の社会的費用を計測した経験が少なく,一定の確信をもった評価を行えない状況にある.本研究では複数の異なるCV(Contingent Valuation)サーベイを実施して,わが国における地球温暖化の社会的費用の計測を試みる.さらに,運輸部門の費用便益分析への適用性を鑑み,交通モード別の社会的費用原単位を試算し,原単位作成上の各種課題を抽出する.よって本論文で示す原単位の試算結果は,その精度向上を進めるための議論の第一歩であることを念頭に置かれたい.