2004 年 7 巻 1 号 p. 023-033
鉄道と道路の立体交差事業のうち,連続立体交差事業は地方自治体が主体の街路事業として,建運協定(1969年制定)の下で数多くの事業が実施されており,都市再生に資する事業として注目されている.しかしながら,その事業採択に係る評価手法においては,踏切道解消に伴う道路交通円滑化に係る効果が定量的に評価されつつも,鉄道に係る効果や,環境や市街地一体化等の事業特有の効果が適切に反映されておらず,課題が多く残されている.これにより,環境面で優れていながらも一般的に事業費が高価な地下式より,事業費が安価な高架式が優先的に採択される等,事業評価が適切に機能していない問題が発生しており,論理性に配慮しつつ透明性の高い評価手法の早急な確立が強く求められている.本研究では,こうした問題意識のもと,連続立体交差事業全体の効果を総合的かつ数値的に評価する手法を検討し,JR仙石線連続立体交差事業をケーススタディとしてその適用性を検証するものである.