運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
7 巻, 1 号
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研究
  • 紀伊 雅敦
    2004 年 7 巻 1 号 p. 002-013
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    大都市における駅前は鉄道と道路の結節空間であると同時に,多くの人々が日常的に利用する都市空間でもある.しかし,駅前広場の整備水準は未だ十分ではなく,慢性的な交通混雑,都市空間としての魅力の欠如等の問題が指摘されている.これらを改善することは,安全性,快適性,利便性を高め,ひいては地域の魅力や生活の質を向上させる上で極めて重要である.

    しかし,駅前広場の不足量や,必要とされる改善方策は必ずしも明らかにされていない.本研究では,首都圏を対象に駅前の整備経緯をまとめ,その役割と課題を整理する.その上で,駅前広場の需要量と供給量よりその不足量を把握する.次にこれら広場の整備に関わる近年の技術・制度の変化を整理し,個別の駅を対象に,特性に応じた整備方策を検討する.最後に駅前広場の整備プロセスに関わる問題点をまとめ,制度改善の方向を検討する.これらにより,今後の駅前整備の方向を提案し,将来の検討に資することが本論文の目的である.

  • 三輪 英生, 花岡 伸也
    2004 年 7 巻 1 号 p. 014-022
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    国際航空輸送は二国間主義による制限的なシステムを基本としているが,近年,米国のオープンスカイ協定,欧州やオセアニアにおける航空市場統合,APEC多国間オープンスカイ協定など,地域単位の航空自由化が広がっている.ただし,一口に自由化と言ってもその形態は様々であり,自由化の対象事項やその程度は異なる.そこで本研究では,自由化の動向と形態,及びその背景や意図を,航空企業の競争条件や自由貿易協定との関係を踏まえながら整理した.また,航空協定で規定される項目別に各協定の自由化のレベルを比較し,自由化には,自国(自地域)航空企業の利害を踏まえた戦略が組まれていることを明らかにした.こうした自由化の動向を踏まえ,自由化に後れを取っている我が国の航空協定が今後進むべき方向性を,特にアジア全体の視野を踏まえて展望し,その必要性と可能性について考察した.

  • 山本 隆昭
    2004 年 7 巻 1 号 p. 023-033
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    鉄道と道路の立体交差事業のうち,連続立体交差事業は地方自治体が主体の街路事業として,建運協定(1969年制定)の下で数多くの事業が実施されており,都市再生に資する事業として注目されている.しかしながら,その事業採択に係る評価手法においては,踏切道解消に伴う道路交通円滑化に係る効果が定量的に評価されつつも,鉄道に係る効果や,環境や市街地一体化等の事業特有の効果が適切に反映されておらず,課題が多く残されている.これにより,環境面で優れていながらも一般的に事業費が高価な地下式より,事業費が安価な高架式が優先的に採択される等,事業評価が適切に機能していない問題が発生しており,論理性に配慮しつつ透明性の高い評価手法の早急な確立が強く求められている.本研究では,こうした問題意識のもと,連続立体交差事業全体の効果を総合的かつ数値的に評価する手法を検討し,JR仙石線連続立体交差事業をケーススタディとしてその適用性を検証するものである.

  • 須田 昌弥, 依田 高典
    2004 年 7 巻 1 号 p. 034-042
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    国鉄民営化後のJR旅客6社の新幹線・在来線の費用関数の構造について,トランスログ費用関数を用いて推計を試みた.その結果,新幹線・在来線ともに密度の経済性は認められるものの,JR本州3社においては,新幹線と在来線の間における範囲の経済性の存在を明らかにすることはできなかった.本州3社と三島会社の間の密度の経済性に起因する費用格差は大きく,また本州3社内・三島会社内の格差も無視できない.これらの推計結果をもとに,その政策的帰結についても言及する.

報告
  • -ロンドン地下鉄の事例を対象として-
    金子 雄一郎
    2004 年 7 巻 1 号 p. 043-051
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    本論文は都市鉄道における運賃弾力化の方法や課題について,既存の実施事例をもとに検討するものである.具体的には従来から家族や週末など利用者層や利用時間帯に応じた弾力的な運賃設定を行っているロンドン地下鉄を対象に,各種運賃の割引率やその設定論拠,実施による利用者便益や事業者収入の変化,社会的便益などについて事後評価報告書を中心にレビューすることで,運賃弾力化の効果や課題を明らかにし,我が国における運賃弾力化の検討への示唆を得ることを目的とする.

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