大都市における駅前は鉄道と道路の結節空間であると同時に,多くの人々が日常的に利用する都市空間でもある.しかし,駅前広場の整備水準は未だ十分ではなく,慢性的な交通混雑,都市空間としての魅力の欠如等の問題が指摘されている.これらを改善することは,安全性,快適性,利便性を高め,ひいては地域の魅力や生活の質を向上させる上で極めて重要である.
しかし,駅前広場の不足量や,必要とされる改善方策は必ずしも明らかにされていない.本研究では,首都圏を対象に駅前の整備経緯をまとめ,その役割と課題を整理する.その上で,駅前広場の需要量と供給量よりその不足量を把握する.次にこれら広場の整備に関わる近年の技術・制度の変化を整理し,個別の駅を対象に,特性に応じた整備方策を検討する.最後に駅前広場の整備プロセスに関わる問題点をまとめ,制度改善の方向を検討する.これらにより,今後の駅前整備の方向を提案し,将来の検討に資することが本論文の目的である.
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