社会学年報
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特集「死と看取りの社会学――その問題圏」
在宅ホスピスケアという選択
―看取りの現場の経験談が示唆するもの―
相澤 出
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2010 年 39 巻 p. 15-25

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抄録
 病院での死亡率が世界的に見ても大変高い日本にあって,在宅ホスピスケアという選択肢は患者・家族にとって目新しいものである.そのため,選択の是非をめぐって患者・家族は問い直しを続ける.特にその問い直しが生じるのは,病状や家族をめぐる状況の変化が生じた時である.この時,自宅でのケアを継続するか中断するかをめぐる意思決定がなされる.この意思決定は患者,家族の意向だけでなく,様々な他者(患者と家族にとって重要な他者としてのきょうだい,親族,さらには友人知人)の意見にも左右される.加えて,決定の方針も不動のものではなく,状況の変化にあわせて動揺し続ける場合も多い.本稿では,社会学ではほとんど研究がされていない在宅ホスピスケアの現場について事例に即しながら紹介し,患者と家族が在宅での療養生活を選択するプロセス,迷い,決定について,現場では実際にどのような事態が生じているのかを記述する.
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© 2010 東北社会学会
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