社会学年報
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論文
親子間の会話と子どもの学業成績
鳶島 修治
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2024 年 53 巻 p. 101-112

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抄録

 本稿では,東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が実施している親子パネル調査のデータを用いて,子どもの性別や親の学歴による違いに注目しながら親子間の会話頻度と子どもの学業成績との関連を検討した.パネルデータ分析により観察されない異質性を統制し,親子間の会話と学業成績の関連を厳密に把握することを試みた.「学校での出来事」「友だちのこと」「勉強や成績のこと」「将来や進路のこと」「社会のニュース」の5項目に関する父子間および母子間の会話頻度のうち,勉強や成績に関する母子間の会話は子どもの学業成績とほぼ一貫して正の関連を示したが,親が大卒の中学生女子や母非大卒層の小学生男子の学業成績とは関連していなかった.勉強や成績に関する父子間の会話は小学生女子や中学生男子の学業成績との正の関連が見られたが,小学生男子や中学生女子の学業成績とは関連していなかった.小学生のサンプルでは母非大卒層の女子に限り友だちに関する母子間の会話が学業成績と正の関連を示しており,学業達成の高さに結びつく親子関係のかたちは階層やジェンダーによって異なることが示唆される.また,学業成績が低いと将来や進路に関する会話が多くなる傾向は親が非大卒の中学生女子に関してだけ見られ,この知見は教育達成の男女間・階層間格差と関係している可能性がある.

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